「朝が、好きなんだ」
午前7時、今日は朝から仕事。
何人かで待ち合わせている。
一番に来ていたその人が言った。
私は二番目に着いて、しばらく二人で立っていた。
「新しい人生が始まるから」
私にはよくわからない世界観だ。
ちょっと前に流行った『一日一生』の概念を
地で行ってるのだろうか。
「それって昨日までの人生って、どうなってるんですか?」
私も哲学はかじったけど、わからない話だらけ。
その人は、歴代の哲学者の言ってることが
腑に落ちてるんだろうか。
「もうないよ、脳内ハードディスクのデータとしてしかない。」
少し出たプログラマーっぽさが、うれしい。
「それって、悲しいですね。」
間に受けたわけじゃないけど、純粋な感想。
「そりゃそうだ。人生は根底で悲しい。」
この人は、どういう経験から言葉を紡いでるんだろう。
覗いてみたくなった、けど。
きっとしまっておくべきなのかな。